耳鳴り・難聴・メニエール・ふらつき
日本人の15%が、耳鳴りを感じているといわれています。
耳鼻科においても原因がわかりにくく、難病とされています。
皆さん信じられないかもしれませんが、私の経験上、すべてではないですが、噛み合わせが原因の場合が、少なくとも半分ぐらいはあると思います。
・どんな条件で起こるのか
奥歯を失くしたり、歯周病で奥歯が傾いて、上の顎と下の顎の間隔が短くなり、噛み合わせが低くなっている方に起こります。
・なぜ起こるのか
人間は噛むことによって、下あごの青色の矢印( ↑)に体重50㎏の人なら50㎏の力、体重70㎏の人なら70㎏の力がかかります。これが赤色の矢印( ↑)に伝わります。奥歯の高さが正常であれば問題ないのですが、耳鳴りなどの症状がでる場合は奥歯を失くされていたり、傾いている場合です。当然、顎と顎の間が短くなるので、関節の赤色の矢印( ↑)に、青色の矢印( ↑)がより深くくいこみます。
赤色の矢印( ↑)の部分には、薄皮一枚の骨(数㎜)を隔てて耳の中(内耳・中耳)があるので、深くくいこむたびに、すごい力で圧迫しているのです。よって不快な耳鳴り・難聴・メニエール・ふらつきなどが起こります。
・患者さんの例 Fさん(71歳・男性)
突然耳鳴りで悩まされて熟睡ができず、近隣の耳鼻科脳神経外科などを転々とされるがMRIでも異常なし、原因不明とされ、次は遠方の大学病院を受診予定でした。私が偶然奥さまの往診時にこの症状を聞き、これはもしかすると噛み合わせが原因ではないかと、当院の受診をすすめました。翌日来院され、装着されている入れ歯の高さが低いことを疑い、ためしに綿花で噛み合わせを上げてみると、一発で耳鳴りが解消。入れ歯の噛み合わせの高さを上げると、諸症状はすべてなくなり完治しました。「こんな事が原因とは」と驚かれていました。大学病院に行かれても、治るすべもなく、なんとか解決しようといろんな他科へ回されていたでしょう。
飛蚊症、目のちらつき、視力低下など
これもすべてではないですが、経験上、噛み合わせが原因で起こっているケースがあります。
奥歯を無くされて、前歯だけしか残っていないような場合です。噛んだ時に前歯部だけに力が集中し(50~70㎏)、上顎骨の一部が縫合からずれて上に持ちあがり、視神経、眼神経をいつも圧迫しているためです。前歯の本来の役目は食べ物を奥に送ったり、軽く引き裂くくらいの働きをするためのもので通常はそんなに力のかかる部位ではないのですが、奥歯がないと無意識に咀嚼しようとします。その時に上顎骨の前方部のみに過度な力がかかります。
奥歯がむし歯で噛めずに治療をしていた患者さんが治療が完全に終わり、奥歯で噛むことができるようになると、今までしていた眼鏡がいらなくなった、その他、入れ歯を入れ、奥で踏ん張れるようになり、眼のちらつきが治ったケースもあります。
「歯周病で奥歯が傾いたりする」とはどういうことか?
中年以降の方で前歯が飛び出している人をよく見かけませんか?
①元々上顎前突(出っ歯)で出ている人
②奥歯を失くして前歯だけになっている人
前歯に力がかかり、前歯が飛び出してくる。
③重症な歯周病になると、歯の病的移動が起こります。
支持している骨の喪失、さらに歯ぎしり・くいしばりにより、歯は手前に倒れてきます。すると、噛めば噛むほど力のベクトルは前方にかかり、噛もうとしても力が前に抜けて、踏ん張れない状態になります。
有名人でいうと、俳優のK・Eさん(57歳)がその例です。最近、前歯が飛び出しており、噛み合わせが急激に低くなっている感じがします。歯周病・いびき・無呼吸があります(喉の形態を見ればわかります)。煙草により毛細血管は収縮しますから、歯肉・唇の色は紫色になります。顔色はヘビースモーカーで肝機能が悪く、血圧も高いと想像つくわけです。口元が全体に黒いのも口呼吸によるものです。